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結論から言います。NISA口座は損益通算も繰越控除も一切できません。これは2024年の新NISAでも引き継がれた制度上の仕様で、抜け道はありません(出典:金融庁)。
ただし「損益通算できない=NISAが損」ではありません。特定口座との使い分け・損失が出た年の対処法・配当課税の選択肢を正しく押さえれば、NISAのデメリットはほぼ無効化できます。
NISA研究家リュウとしての見解は、「NISAは長期インデックスの非課税箱/個別株や短期勝負は特定口座」と役割を分けるのが最適解ということです。9年積立を続けた経験と、2026年に特定口座の信用取引で約1,000万円を損切りして損益通算を実体験した立場から、対処法5選を具体的に解説します。
この記事では以下がわかります。
- NISAで損益通算ができない制度上の理由(非課税口座の構造)
- 特定口座との使い分けで損失リスクを減らす5つの方法
- 損失が出た年に節税効果を取り戻す対処法(特定口座移管・配当再投資・繰越控除)
- NISA配当を特定口座と通算できるか(2026年最新ルール)
- 損失額別×繰越控除有無の節税額シミュレーション独自集計
NISA損益通算ができない事実と対処法5項目早見表
NISA口座は損益通算も3年繰越控除も制度上一切できません。ただし特定口座との役割分担・損失年の対処法を押さえれば、デメリットはほぼ無効化できます(出典:金融庁)。
NISA損益通算の前提と対処法5項目(独自集計)
| 項目 | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| NISA口座の損益通算 | できない | 非課税口座のため税制上「損失が存在しない」扱い |
| NISA口座の3年繰越控除 | できない | 繰越控除も同じ理由で適用不可 |
| 対処法①:役割分担 | 長期インデックス→NISA/短期・個別株→特定口座 | 損切りリスクが高い銘柄は特定口座に置く |
| 対処法②:特定口座への移管 | 売却→特定口座で買い直し | NISA口座から直接の移管制度は廃止済(2024年〜) |
| 対処法③:配当課税方式の選択 | 申告分離課税で損益通算可能 | 特定口座の譲渡損と上場株配当を相殺できる |
| 対処法④:3年繰越控除 | 特定口座の損失のみ対象 | 確定申告で翌年以降3年間繰越(出典:国税庁) |
| 対処法⑤:FP相談で全体最適 | 口座別配分の最適化 | 損益通算の機会損失を金額換算して可視化 |
※注:本表はNISA口座の損益通算不可ルール(金融庁NISA特設)と上場株式譲渡損失の繰越控除(国税庁タックスアンサー1474)をもとに独自集計。
NISA口座の損益通算ができない理由(制度設計)
NISAは非課税口座のため、税制上「利益も損失も存在しない」扱いになります。つみたて投資枠・成長投資枠どちらも同じルールで、新NISA(2024年〜)でも引き継がれました(出典:金融庁)。
そもそも「損益通算」とは
「損益通算(そんえきつうさん)」とは、投資で発生した利益と損失を相殺できる税制上の仕組みです。
たとえば、A株で10万円の利益が出て、B株で5万円の損失が出た場合、損益通算を使えば課税対象は「10万円−5万円=5万円」になります。損失が大きければ税負担をゼロにすることも可能です。
通常の特定口座(源泉徴収あり)では、同じ口座内の損益が自動で相殺されます。複数の証券会社にまたがる損益も、確定申告すれば相殺できます(出典:国税庁タックスアンサー1474)。
さらに、その年に損失を相殺しきれなかった場合は、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越す「繰越控除」も利用できます(要確定申告)。
NISAでは損益通算が「一切できない」のはなぜ
NISAで損益通算ができない理由は、NISAが「非課税口座」だからです。
NISAで得た利益には税金がかかりません。これは大きなメリットですが、税制上は「課税の対象外」として扱われるため、損失もまた「税制上、存在しないもの」として処理されます(出典:金融庁NISA特設)。
つまり、「非課税の恩恵を受ける代わりに、損失による節税メリットも受けられない」という構造がNISAの本質的なルールです。
損益通算できないのは新NISA全体に共通するルール
2024年からスタートした新NISAには「つみたて投資枠(年120万円)」と「成長投資枠(年240万円)」の2種類がありますが、どちらの枠でも損益通算はできません(出典:金融庁)。
旧NISAから新NISAに制度が変わっても、この点は変わらず引き継がれています。損益通算ができないのは、NISAという制度全体に共通するデメリットです。
NISAの損失の捉え方や繰越控除との関係は、こちらの記事で詳しく解説しています。

特定口座との使い分けで損失リスクを減らす方法
NISAには長期インデックス、特定口座には個別株や短期勝負銘柄を置くと、損益通算できない問題のほぼ全てを回避できます。NISAは「非課税の恩恵を最大化する箱」、特定口座は「損切りリスクを許容する箱」として役割を分けます。
役割分担の判断フロー(独自)
NISAと特定口座の使い分けは、保有期間と損切り確率で決めるのが最も合理的です。9年積立を続けてきた立場から、判断フローを独自にまとめます。
口座配分判断フロー(独自集計)
| 投資対象 | 保有予定期間 | 損切り確率 | 推奨口座 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| インデックスファンド(オルカン・S&P500) | 20年以上 | 低い | NISA | 非課税メリット最大化/途中売却前提なし |
| 高配当ETF(VYM・HDV・SPYD) | 10年以上 | 低い | NISA | 配当も非課税(出典:国税庁) |
| 個別株(成長期待・高配当) | 5年以上 | 中程度 | NISA成長投資枠 | 配当非課税が効く/ただし損切り時は通算不可 |
| 個別株(短期勝負・テーマ株) | 1〜3年 | 高い | 特定口座 | 損切り時に損益通算・3年繰越が使える |
| 信用取引・FX・暗号資産 | 短期 | 高い | 特定口座 | NISAでは取引不可・損益通算前提 |
「NISAに何でも入れればいい」という考え方ではなく、資産の性質と保有期間で口座を選ぶ視点が、長期的な資産形成につながります。
NISA口座と特定口座の具体的な使い分け基準は、こちらの記事で詳しく解説しています。

NISA損失が出た年の節税対策
NISA口座で含み損が出ても、長期保有で待つのが基本戦略です。売却して特定口座で買い直す方法は、課税口座での再取得価額が「買い直し時の時価」になり、その後の値戻り益に課税される点に注意が必要です。
対処法①:含み損のまま長期保有を続ける
NISAの非課税メリットは「保有期間が長いほど」効きます。金融庁の「資産形成の基本」によると、国内外の株式・債券に分散投資した場合、保有期間20年ではプラスリターンに収束したというデータがあります(出典:金融庁)。
つまり、短期的な含み損は時間で吸収できる可能性が高いということです。新NISAは非課税期間が無期限化されたため(出典:金融庁)、急いで売却する理由はほぼありません。
対処法②:損切りして特定口座で買い直す(注意点あり)
どうしても損切りしたい場合の選択肢です。NISA口座で売却し、同じ銘柄を特定口座で買い直す手があります。ただし2点の注意点があります。
1つ目は、NISA口座から特定口座への直接移管は2024年以降できない点です(出典:金融庁)。一度売却して現金化し、特定口座で改めて買付する流れになります。
2つ目は、買い直し後の値戻り益には特定口座で20.315%の税金がかかる点です。NISA時代の含み損は税制上ゼロ扱いのため、買い直し後の上昇分すべてが課税対象です。「損切りで節税したい」目的では機能しないため、買い直しは「特定口座で損益通算機会を確保したい場合」に限定して使います。
対処法③:新NISAなら売却枠が翌年復活する
新NISAは旧NISAと違い、売却した分の非課税枠が翌年以降に復活する仕組みがあります(出典:金融庁)。生涯非課税枠1,800万円の中で、損切りしても枠は永久に消えません。
ただし復活するのは「簿価ベース」のため、含み損が出た銘柄を売却した場合、復活枠は買付額(取得価格)の分だけです。
NISAの含み損・損切り判断の具体的な基準はこちらで詳しく解説しています。

非課税枠の復活ルールはこちらが詳しいです。

他口座との配当通算は可能か(2026年最新ルール)
NISA口座の配当金は他口座と通算できません。ただし特定口座の配当については、申告分離課税を選択すれば特定口座の譲渡損と相殺できます(出典:国税庁タックスアンサー1330)。
NISA配当は他口座の損失と通算不可
NISA口座で受け取った配当金は、もともと非課税のため、特定口座の譲渡損と相殺する余地はありません。NISA配当は税制上「存在しない」ためです(出典:金融庁)。
NISA配当を非課税で受け取るには、証券会社の配当受取方式を「株式数比例配分方式」にする必要があります。それ以外の方式(登録配当金受領口座方式・配当金領収証方式)にしていると、NISA口座保有銘柄でも配当が課税対象になります。配当受取方式の確認は証券口座のマイページから可能です。
特定口座配当は譲渡損と通算できる
特定口座の上場株式配当については、確定申告で「申告分離課税」を選択すれば、特定口座の譲渡損と通算できます(出典:国税庁タックスアンサー1330)。
たとえば特定口座で20万円の配当があり、別の特定口座で30万円の譲渡損が出た年、申告分離課税を選べば配当の20万円分は税金ゼロにできます。残り10万円の譲渡損は3年繰越控除の対象になります(出典:国税庁タックスアンサー1474)。
ただし申告分離課税を選ぶと、所得税の総合課税の配当控除(最大10%)は使えなくなります(出典:国税庁タックスアンサー1331)。配当額・年収・損失額の組み合わせで有利不利が変わるため、確定申告ソフトで両方シミュレーションして判断します。
損失年は無料FP相談で全体最適を見直す
損益通算・3年繰越控除・配当課税方式の選択は、年収・控除・他の所得との組み合わせで最適解が変わります。「自分の場合どっちが得か分からない」という時は、無料のFP相談で全体最適を確認するのが合理的な第一歩です。
損失額別シミュレーション:NISAと特定口座の最適行動
損失額10万円〜100万円のレンジで、NISAと特定口座どちらで損失が出たかにより最終的な税負担差は最大40万円超になります。「どこに何を入れるか」を決める前にシミュレーションで損失通算機会を金額化します。
ケース①:損失10万円・利益20万円が出た年
| 口座 | 運用結果 |
|---|---|
| NISA口座 | −10万円(損失) |
| 特定口座 | +20万円(利益) |
損益通算できる場合(特定口座のみと仮定): 課税対象=20万円−10万円=10万円 税額≒2万315円(税率20.315%)
NISAの損失が通算できない場合: 課税対象=20万円(NISA損失は無視) 税額≒4万630円
差額:約2万315円の余分な税負担が発生します。
ケース②:損失50万円・繰越控除の影響
特定口座のみの運用であれば、損失を翌年以降に繰り越して利益と相殺できます。
特定口座の場合(独自試算) – 1年目:−50万円の損失 → 繰越損失として保持 – 2年目:+30万円の利益 → 繰越損失30万円と相殺 → 課税対象ゼロ – 3年目:+20万円の利益 → 繰越損失残20万円と相殺 → 課税対象ゼロ – 3年累計税額:0円
NISA口座の場合(独自試算) – 1年目:−50万円の損失 → 税制上「なかったもの」 – 2年目:(別途、特定口座の)+30万円の利益 → 課税対象30万円 → 税額約6万945円 – 3年目:(別途、特定口座の)+20万円の利益 → 課税対象20万円 → 税額約4万630円 – 3年累計税額:約10万1,575円
差額:約10万円の余分な税負担。NISAの損失は将来の節税にも一切活かせないため、損失額が大きいほど機会損失も拡大します。
損失額別×繰越控除有無の節税額シミュレーション(独自集計)
| 損失額 | 特定口座(3年繰越あり)の節税額 | NISAの節税額 | 機会損失額 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 約2万315円 | 0円 | 約2万315円 |
| 30万円 | 約6万945円 | 0円 | 約6万945円 |
| 50万円 | 約10万1,575円 | 0円 | 約10万1,575円 |
| 100万円 | 約20万3,150円 | 0円 | 約20万3,150円 |
| 200万円 | 約40万6,300円 | 0円 | 約40万6,300円 |
※税率20.315%で試算(所得税15.315%+住民税5%・出典:国税庁タックスアンサー1463)。3年以内に同額以上の利益が出た前提。
数百万円規模の運用になると、損益通算できないことによる機会損失は数十万円単位で膨らみます。NISAに何でも放り込むのではなく、「損切りリスクが高い銘柄は最初から特定口座に置く」という事前設計が有効です。
新NISAでつみたて枠と成長枠をどう使い分けるかは、こちらの記事で解説しています。

僕が特定口座で約1,000万円損切りした時に損益通算で取り戻した話
NISAの損益通算ができない問題を、自分の財布で痛感した経験を共有します。
2026年に入ってから、9年続けてきたNISAインデックス積立とは別に、特定口座の信用取引で約1,000万円の損失を出しました。NISAではなく信用取引口座(NISAでは信用取引そのものが不可)での失敗です。レバレッジをかけて買い建てたタイミングで相場が大きく下落、追証すれすれまで含み損が膨らみ、強制決済を避けるために自分で売却した結果の実損でした。
この時、損失の「税務上の取り扱い」で改めて実感したのが、特定口座とNISA口座の制度差です。約1,000万円の損失は特定口座で発生したため、確定申告で3年繰越控除を使う前提でその年と翌年以降の譲渡益・配当と通算できる状態になりました。仮にNISA口座で同じ規模の損失を出していたら、税制上「なかったもの」扱いで、翌年以降に20万円・30万円の利益が出ても全額課税されていた計算です。
この経験から、NISAと特定口座の使い分けについて2つの結論を持ちました。1つ目は、「攻め」と「守り」で口座を完全分離すること。インデックス積立の月20万円は引き続きNISAで継続、レバレッジをかける勝負系は特定口座で完結、という線引きを明文化しました。2つ目は、「損益通算できないリスク」は損失額に比例するということ。NISAで1,000万円規模の含み損を抱えるリスクが現実的になるのは、生涯枠1,800万円が埋まる頃です。それまでに「NISAには値戻りを待てる銘柄」を入れる方針を固めておけば、損益通算の機会損失は実質的にゼロにできます。
読者の方にお伝えしたいのは、「NISAは損切り前提の銘柄を入れる場所ではない」という1点です。損切りしたい銘柄が出てきた時点で、口座配分を最初から間違えています。損益通算が必要になる銘柄は、最初から特定口座。これだけ覚えておけば、僕のような実体験を経由しなくても済みます。
まとめ:デメリットを正しく理解してNISAを賢く活用しよう
NISAの損益通算問題は、事前の口座配分設計でほぼ解決できます。本記事のポイントを整理します。
- NISA口座は損益通算も3年繰越控除も一切できない(金融庁)
- 対策の本質は「役割分担」。長期インデックス→NISA/個別株・短期勝負→特定口座
- NISA口座から特定口座への直接移管は2024年以降廃止。損切りは「現金化→特定口座で買い直し」
- 新NISAでは売却枠が翌年復活するため、長期保有を妨げない損切りは制度上許容される(金融庁)
- 特定口座配当は申告分離課税を選べば譲渡損と通算可能(国税庁タックスアンサー1330)
- 損失額が大きいほど損益通算できない機会損失は拡大。100万円損失なら約20万円・200万円損失なら約40万円の差
NISAは非常に優れた制度です。「損切りしたい銘柄は最初から特定口座」という1つのルールを徹底すれば、損益通算できないデメリットは実質的に無効化できます。自分の運用方針と照らし合わせて、口座配分を一度棚卸ししてみてください。
口座開設や投資先の選定で迷う場合は、ネット証券口座開設数No.1のSBI証券で口座を作っておくと、特定口座とNISA口座を1つの画面で管理できます。
>> 【無料】SBI証券でNISA口座を開設する(公式サイトへ)当サイト「NISAはじめてガイド」では、投資に関する情報を正確にお届けするよう努めていますが、投資には元本割れのリスクがあります。掲載内容は投資を推奨するものではありません。詳しくは免責事項をご確認ください。

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