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結論から言うと、NISAで損益通算ができないのは本当です。
NISA口座の損失は税制上「存在しないもの」として扱われるため、特定口座の利益と相殺することも、翌年に繰り越すこともできません。
ただし、NISA研究家リュウとしてお伝えしたいのは、「損益通算できない=NISAが損」ではないということです。長期投資を前提にすれば、NISAの非課税メリットは損益通算のデメリットを大きく上回ります。
この記事でわかること:
- 損益通算ができない仕組みと、具体的にいくら損するのかのシミュレーション
- 「特定口座で運用した方が得だった」となるケースの条件
- 損益通算できなくても損しないための3つの対策
そもそも「損益通算」とは?NISAとの関係を整理しよう
損益通算の基本的な仕組み
「損益通算(そんえきつうさん)」とは、投資で発生した利益と損失を相殺できる税制上の仕組みです。
たとえば、A株で10万円の利益が出て、B株で5万円の損失が出た場合、損益通算を使えば課税対象は「10万円 − 5万円 = 5万円」となります。損失が大きければ税負担をゼロにすることも可能です。
通常の特定口座(源泉徴収あり)では、同じ口座内の損益が自動で相殺されます。また、複数の証券会社にまたがる損益も、確定申告をすれば相殺できます。
さらに、その年に損失を相殺しきれなかった場合は、最長3年間にわたって損失を繰り越す「繰越控除」も利用できます(要確定申告)。
NISAでは損益通算が「一切できない」のはなぜ?
NISAで損益通算ができない理由は、NISAが「非課税口座」だからです。
NISAで得た利益には税金がかかりません。これは大きなメリットですが、税制上は「課税の対象外」として扱われるため、損失もまた「税制上、存在しないもの」として処理されます。
つまり、「非課税の恩恵を受ける代わりに、損失による節税メリットも受けられない」という構造がNISAの本質的なルールです(金融庁「NISAとは」参照)。
この点は、NISA口座で投資を始める前に必ず理解しておきたいポイントです。

損益通算できないのはNISA全体に共通するルール
2024年からスタートした新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がありますが、どちらの枠でも損益通算はできません。
旧NISAから制度が変わっても、この点は変わらず引き継がれています。損益通算ができないのは、NISAという制度全体に共通するデメリットです。
NISAが損益通算できないと、どんなデメリットがある?
デメリット①:特定口座・一般口座との損益通算ができない
最も影響が大きいデメリットが、NISA口座での損失を、特定口座や一般口座の利益と相殺できない点です。
| 口座 | 運用結果 | 損益通算の扱い |
|---|---|---|
| NISA口座 | −5万円(損失) | 税制上「なかったもの」 |
| 特定口座 | +10万円(利益) | 全額に課税(約20.315%) |
通常、特定口座のみで運用していた場合、損益通算で課税対象を「10万円 − 5万円 = 5万円」に抑えられます。しかしNISA口座の損失は「なかったもの」として扱われるため、特定口座の10万円全額に税金(約20.315%)がかかります(金融庁「NISAとは」参照)。
税額にすると約2万315円の負担となり、損益通算できた場合との差額は約1万158円です。
デメリット②:損失の繰越控除も使えない
特定口座であれば、その年に損失を相殺しきれなかった分を最長3年間繰り越して将来の利益と相殺する「繰越控除」が使えます。
しかし、NISA口座での損失はこの繰越控除も一切使えません。損失が出た年も翌年以降も、税制上のプラス効果はゼロです。
たとえば、NISA口座で30万円の損失が出た翌年に特定口座で20万円の利益が出ても、NISA損失との相殺はできず、20万円全額に課税されます。
デメリット③:損失が出ると非課税メリットが完全にゼロになる
NISAの最大の魅力は「利益に税金がかからないこと」です。しかし損失が出た場合、もともと課税される利益がないため、非課税の恩恵もゼロになります。
それどころか、損益通算も繰越控除も使えない分、特定口座で運用するよりも損失時の影響が大きくなる可能性があります。

具体的なシミュレーションで確認してみよう
ケース①:NISA口座で損失・特定口座で利益が出た場合
| 口座 | 運用結果 |
|---|---|
| NISA口座 | −10万円(損失) |
| 特定口座 | +20万円(利益) |
損益通算できる場合(特定口座のみと仮定):
課税対象 = 20万円 − 10万円 = 10万円
税額 ≒ 2万315円
NISAの損失が通算できない場合:
課税対象 = 20万円(NISA損失は無視)
税額 ≒ 4万630円
→ 差額:約2万315円の余分な税負担が発生します
この差額は運用金額が大きくなるほど膨らみます。数百万円規模の運用になると、損益通算できないことによる影響は無視できないレベルになります。
ケース②:繰越控除が使えないことの影響
特定口座の場合:
1年目:−30万円の損失 → 繰越損失として保持
2年目:+20万円の利益 → 繰越損失と相殺 → 課税対象ゼロ
NISA口座の場合:
1年目:−30万円の損失 → 税制上「なかったもの」
2年目:(別途、特定口座の)+20万円の利益 → 課税対象20万円 → 税額約4万630円
NISAの損失は将来の節税にも一切活かせないため、損失が出ても「損した上に税金も払う」という状況が起こりうるのです。
では「NISAは使わない方がいい」のか?
ここまで読むと「NISAは損なのでは?」と思うかもしれません。しかし、損益通算のデメリットが発生するのは「NISA口座で損失が確定した場合だけ」です。
金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」によると、国内外の株式・債券に分散投資した場合、保有期間20年ではプラスリターンに収束するというデータが示されています。つまり、長期投資を前提にすれば損益通算のデメリットが現実化するリスクは大幅に下がります
NISAの損益通算デメリットへの3つの対策
対策①:NISAは「長期保有」前提で活用する
NISAのデメリットを最小化するには、短期的な値動きに振り回されない長期投資を基本とすることが最も重要です。
新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠ともに、長期・積立・分散投資との相性が非常に高い設計になっています。長期保有を前提にすることで、一時的な損失が生じても時間をかけてリカバリーできる可能性が高まります。
S&P500や全世界株式などのインデックスファンドを積立で購入する方法は、NISAの非課税メリットを最大限に活かせる運用方法です。

対策②:特定口座との使い分けを意識する
NISAと特定口座は、それぞれの特性を理解した上で使い分けることが大切です。
| 投資対象 | おすすめ口座 | 理由 |
|---|---|---|
| インデックスファンド(長期積立) | NISA口座 | 非課税メリットが大きい |
| 個別株(値動き大・損切りの可能性あり) | 特定口座 | 損益通算・繰越控除が使える |
| 高配当ETF(長期保有前提) | NISA口座 | 配当金も非課税になる |
「NISAに何でも入れればいい」という考え方ではなく、資産の性質によって口座を選ぶという視点が、長期的な資産形成につながります。

対策③:損切りのタイミングは慎重に判断する
NISA口座では損切りをしても税制上のメリットがないため、「損切りして枠を回復させるか、そのまま長期保有を続けるか」の判断は慎重に行う必要があります。
なお、新NISAでは売却した分の非課税枠が翌年以降に復活するという仕組みがあります(旧NISAにはなかった特徴)。損切りで非課税枠が永久に消えるわけではないため、この点は正しく理解しておきましょう。

まとめ:デメリットを正しく理解してNISAを賢く活用しよう
- NISAは非課税口座のため、損失も「税制上なかったもの」として扱われる
- NISA口座の損失は、特定口座・一般口座の利益と損益通算できない
- 損失の繰越控除も一切使えない
- ただし、長期投資を前提にすれば損益通算のデメリットが現実化するリスクは大幅に低下する
- 対策は「長期保有を前提にする」「特定口座との使い分けを意識する」「損切りは慎重に判断する」
NISAは非常に優れた制度です。損益通算できないという特性を正しく理解した上で、自分に合った運用スタイルを選んでいきましょう。

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