【2026年版】NISAで米国ETFの外国税10%は確定申告で取り戻せる?取り戻せない3条件と早見表で解説

米国ETFの外国税額控除と確定申告フロー解説(v3版アイキャッチ)

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先に結論を書きます。NISA口座で米国ETF(VOO・VTI・VYM等)の配当に課される外国税10%は、確定申告しても取り戻せません。 国税庁タックスアンサーNo.1240で「非課税口座内上場株式等の配当等に対して課される外国所得税額」は外国税額控除の対象外と明記されています。

ただし、それでもNISA口座の手取りは課税口座より多くなります。配当10万円なら、NISA手取り9万円に対して特定口座(控除なし)は約7万1,716円。年間で2万8,000円以上の差が生まれます。

NISA研究家リュウとしての見解は、「10%引かれるから損」と誤解してNISAを避けるのは、20.315%の国内税非課税メリットを丸ごと捨てる判断ということです。米国源泉10%は制度の限界として織り込んだ上で、NISAを使い切るのが現実解と考えます。

この記事では以下がわかります。

  • NISA口座で外国税額控除が使えない制度上の理由(国税庁No.1240準拠)
  • NISA口座と特定口座の手取り比較(年間配当10万・50万・100万別)
  • 特定口座で外国税額控除を申告する判定3条件と確定申告フロー早見表
  • 米国源泉税10%を回避する代替手段(国内籍投資信託・東証ETF)

外国税額控除 適用判定3条件チェックリスト

NISA口座の米国ETF配当にかかる10%外国税を確定申告で取り戻せるのは、特定口座保有者のみです。以下3条件をすべて満たす場合だけ還付申告が成立します。

条件確認ポイントNISA口座特定口座
条件1:日本の所得税額がある国内で確定申告対象の所得税が発生している対象外(日本税ゼロのため控除不可)対象
条件2:特定口座年間取引報告書に外国所得税額の記載証券会社が1月に交付する書類に記載あり必須
条件3:配当所得を「総合課税」または「申告分離課税」で申告源泉徴収ありの特定口座でも自分で確定申告する必要がある必須

(独自整理:2026年5月時点・国税庁タックスアンサーNo.1240ベース)


目次

NISAで米国ETF配当に外国税10%がかかる仕組み

💡 答え

NISA口座でも米国ETF配当には米国側で10%の現地源泉が引かれます。日米租税条約で本来30%が10%まで軽減された結果で、口座種別に関係なく課されます。

米国ETFの配当金が支払われる流れ

VOO(バンガードS&P500 ETF)やVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)、VYM(バンガード・ハイディビデンド・イールドETF)など米国籍ETFは、米国市場に上場しています。配当は米国の税制ルールに従って支払われます。

そのため、日本のNISA制度で日本側の税金を非課税にしても、米国で課される税金は別途引かれます。日本のNISAは「日本国内の税金をゼロにする制度」であり、海外の税金までは制御できない点が出発点です。

10%が引かれる根拠は日米租税条約

米国は外国人投資家の配当に原則30%の源泉徴収税を課します。ただし「日米租税条約」により、日本居住者は軽減税率の10%が適用される仕組みです。

日本の主要ネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)は米国の「適格仲介人(QI)」としてIRSと契約済みで、口座開設時に提出した情報をもとに証券会社側が自動的に手続きを行います。投資家がW-8BENを個別提出する必要はありません。

NISA口座での手取りはこうなる

配当1万円を受け取る場合の流れを表で整理します。

配当の状態金額(配当1万円・NISA口座の場合)
米国ETFが支払う配当金(税引き前)10,000円
米国で10%が源泉徴収▲1,000円
日本のNISA口座に入金される金額9,000円
日本での課税(NISAのため)0円(非課税)
最終的な手取り額9,000円

特定口座と比べると日本側の20.315%は引かれませんが、米国で引かれた1,000円はそのままです。配当金目当てで米国ETFを買う場合、表面利回りに0.9を掛けた実質利回りで再評価しておくと、運用後のギャップが小さくなります。

出典国税庁タックスアンサーNo.1330「配当所得があるとき」国税庁タックスアンサーNo.1331「上場株式等の配当等に係る源泉徴収」


NISA口座では外国税額控除が使えない理由

💡 答え

NISA口座は日本の税金がゼロのため、外国税額控除の「差し引く土台」が存在しません。国税庁タックスアンサーNo.1240に「非課税口座内上場株式等の配当等は対象外」と明記されています。

外国税額控除は「二重課税の調整」のための制度

外国税額控除とは、海外で課税された税金と日本の税金で二重に課税される分を調整する制度です。特定口座で米国ETF配当を受けると、以下の二重課税が発生します。

  1. 米国で10%が源泉徴収される
  2. 残った90%に対して日本で20.315%が課税される

この「二重に取られた税金」のうち、米国で払った分を確定申告で日本の税金から差し引けるのが外国税額控除です。

控除限度額には計算式がある

外国税額控除は「払った外国税の全額」を無条件に取り戻せるわけではありません。国税庁が定める控除限度額の計算式は以下のとおりです。

所得税の控除限度額=その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額÷その年分の所得総額)

つまり「日本の所得税のうち、国外所得が占める割合」までしか差し引けません。米国ETF配当の比率が低い会社員の場合、10%全額を取り戻せないケースもあります。

NISA口座は条件1で詰む

NISA口座での配当は日本側の課税がゼロです。差し引くべき日本の税金が存在しないため、控除限度額の計算式が成立しません。国税庁タックスアンサーNo.1240の「対象とならない外国所得税額」セクションで明確に対象外と定められています。

NISA口座で受け取る米国ETF配当の10%は、どの証券会社を使っても取り戻す方法がありません。これは制度設計上の答えなので、回避策を探すより「最初から織り込む」発想に切り替えるのが現実的です。

出典国税庁タックスアンサーNo.1240「居住者に係る外国税額控除」

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NISA口座と特定口座|年間配当別の手取り比較

💡 答え

配当10万円の手取りはNISA9万円に対して特定口座(控除なし)約7万1,716円。NISAが2万8,000円以上有利で、外国税額控除をフルに使った特定口座と比べてもNISAの手取りが上回ります。

配当1万円ベースの3口座比較

NISA口座と特定口座の手取りを、外国税額控除の有無で3パターン並べました。

段階NISA口座特定口座(控除なし)特定口座(控除あり)
米国で源泉徴収(10%)▲1,000円▲1,000円▲1,000円
日本で課税(20.315%)0円▲1,828円▲1,828円
外国税額控除で還付不可なし+約800〜1,000円
手取り額9,000円約7,172円約8,000〜8,172円

特定口座(控除あり)の還付額は所得水準と国外所得比率で変動します。控除限度額の計算式上、配当比率が低い人ほど還付額は小さくなる傾向です。

年間配当額別のインパクト

配当利回り2%の米国ETFを保有した場合、年間でどれだけの差が出るかを確認します。

保有額年間配当(税引前)NISA手取り特定口座手取り(控除なし)NISA有利分
500万円10万円9万円約7.2万円+1.8万円
1,000万円20万円18万円約14.3万円+3.7万円
1,800万円36万円32.4万円約25.8万円+6.6万円

NISAの非課税保有限度額1,800万円をフル活用した場合、配当だけで年間約6.6万円の差が生まれます。10年間では約66万円の差です。

値上がり益を含めるとNISAはさらに有利

配当だけでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)にもNISAなら日本の税金が一切かかりません。配当・値上がり益を合わせたトータルリターンでは、NISAの優位性はさらに大きくなります。

外国税額控除をフルに使った特定口座と比べても、NISA口座の手取りが上回ります。配当目的で長期投資をするなら、NISA口座の利用が基本的に有利です。

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特定口座で外国税額控除を申告する確定申告フロー早見表

💡 答え

特定口座(源泉徴収あり)でも、外国税額控除は自分で確定申告する必要があります。証券会社は自動で還付してくれません。必要書類2点・課税方式選択・記入欄の3ステップで完結します。

確定申告フロー早見表(3ステップ)

ここからは、課税口座(特定口座)で米国ETFや米国株を保有している方向けの内容です。

STEP内容詳細・記入欄
1必要書類を用意「特定口座年間取引報告書」(証券会社が1月頃交付・外国所得税額の記載あり)/「配当等の支払通知書」
2課税方式を選ぶ配当所得を「総合課税」または「申告分離課税」で申告。所得水準により有利な方を選択
3e-Taxで申告確定申告書の「外国税額控除」欄に金額を入力/「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」を添付/証明書類は5年間保管

課税方式の選び方(総合課税と申告分離課税)

総合課税は給与等と合算して累進税率で計算されるため、課税所得が低い人(おおむね695万円以下)に有利な場合があります。一方、申告分離課税は20.315%固定で、課税所得が高い人に有利です。

ただし、総合課税で配当を申告すると合計所得が増え、国民健康保険料や扶養控除に影響することがあります。申告前にどちらが有利かシミュレーションするのが安全です。

注意すべき3つのポイント

1. 控除額には上限がある

外国税額控除で差し引けるのは、「その年の所得税額×(国外所得÷総所得)」が上限です。米国ETF配当の比率が低い人ほど還付額は小さくなります。10%全額が戻るとは限りません。

2. 個別の判断は専門家に相談

この記事は制度の仕組みを解説するものです。個別の税務判断は所轄の税務署または税理士に相談してください。

3. NISAと特定口座を併用している場合

NISA枠と特定口座の両方で米国ETFを保有している方は、特定口座分のみが外国税額控除の対象です。NISA分は対象外なので、申告時に混在させないよう注意します。

出典国税庁タックスアンサーNo.1240「居住者に係る外国税額控除」国税庁「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」(令和7年分以降用)

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米国源泉10%を回避する代替手段(国内籍投資信託・東証ETF)

💡 答え

東証上場の日本籍ETF無分配の投資信託を使えば、米国源泉10%を投資家側で意識せずに済む設計です。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が代表例です。

国内投資信託でも「外国税の見えない負担」はある

「確定申告の手間はかけたくない」「米国源泉が気になる」という場合、国内投資信託(インデックスファンド)を通じた米国株投資が選択肢になります。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)などの国内投資信託は、ファンド内部で米国株を保有し、配当を受け取ります。このとき、ファンド内部で米国側に10%の外国税を支払っています。

投資家が直接税金を納めたり確定申告したりする手間はありませんが、外国税の10%は「見えないコスト」としてファンドの基準価額を押し下げる要因にはなっています。完全に免除されたわけではない点は理解しておきましょう。

なお、分配金を出す国内投資信託を特定口座で保有する場合は「投資信託等の二重課税調整制度」によって自動で調整されます。ただし「eMAXIS Slim」のように分配金を出さずファンド内で再投資する銘柄は、そもそも調整制度の対象外です。

投資信託の「分配金なし」運用が最も無風

eMAXIS Slimシリーズに代表される無分配の投資信託は、ファンド内で配当を再投資して基準価額に乗せていきます。投資家視点では分配金がほぼ出ないため、現地源泉10%自体が話題に上がりません。

長期で米国株式に投資するなら、配当を受け取らずに基準価額成長で受け取るスタイルが、NISAの非課税メリットを最大化しやすい結論です。

VOO・VTIをそのまま持ちたい人向けの整理

VOOやVTIをNISAの成長投資枠で保有する場合のポイントを整理します。

項目内容
配当金への外国税10%が源泉徴収される
外国税額控除NISA口座では使えない
日本の税金(20.315%)NISA口座なら非課税
値上がり益(キャピタルゲイン)NISA口座なら完全非課税
課税口座との比較NISAの方が手取りが多い

配当10%課税をデメリットと捉えるよりも、「それでも課税口座より有利」と理解した上で保有するのが合理的です。

出典金融庁「NISA特設サイト」

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僕がオルカンとS&P500を両方持っている理由

メインはeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)、サブでeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を持っています。「どちらか1本で十分」と言われるのは知っていますが、僕は両方所有しているスタイルです。

僕が積立を始めた2017年はまだ「オルカン」という言葉をあまり耳にしませんでした。最初はS&P500を積み立てていて、2023年頃に「オルカン」が広がり、米国一本より世界全体を持つほうが分散になる、と腹落ちしたタイミングで積立額の半分をオルカンに切り替えました。

両方持つことで実質的には米国比率が高めになりますが、それは意図した配分です。米国ETFを別途ドル建てで持つかどうかは、配当の現地源泉10%を「投資家側で意識したいか・避けたいか」で分かれます。

僕は積立のメインを国内籍の無分配インデックス投信に寄せています。日々の積立で米国・全世界に投資しつつ、配当の現地源泉を投資家側で意識しなくて済む設計だからです。米国ETF(VOOやVTI)は、配当の流入を実感したい時の補助的な位置づけにしています。

「NISAだから完全非課税」と捉えるのではなく、米国源泉10%を最初から織り込んで実質利回りベースで判断する。9年続けて到達した個人的な結論です。

独自データ:米国高配当ETFを特定口座で保有していた時期の年間源泉税

参考までに、米国ETF(高配当系の銘柄を複数)を特定口座で保有していた時期の年間源泉税合計を、僕の管理シートから抜粋しました(銘柄名・取得時期は非開示)。

受取配当合計(税引前・概算)米国源泉10%合計外国税額控除で還付できた額(概算)
2022年約11.5万円約1.15万円約7,800円
2023年約14.2万円約1.42万円約9,500円
2024年約16.8万円約1.68万円約1.1万円

注:還付額は控除限度額計算で按分された結果。配当比率が小さいほど還付率が下がる傾向です。NISAに移してからは「日本側20.315%が完全ゼロになる代わりに、米国分の還付は諦める」設計に切り替えました。


まとめ|10%引かれてもNISAが有利

この記事のポイントを整理します。

項目内容
米国ETF配当にかかる外国税10%(日米租税条約による軽減税率)
NISA口座で外国税額控除使えない(国税庁No.1240で対象外と明記)
NISA口座の手取り(配当1万円)9,000円
特定口座の手取り(控除なし)約7,172円
特定口座の手取り(控除あり)約8,000〜8,172円
結論NISAの方が手取りが多い

10%の外国税は確かにデメリットですが、日本の税金20.315%が非課税になるメリットのほうがはるかに大きいです。値上がり益が完全非課税である点も含めると、NISAでの米国ETF保有は課税口座より明確に有利です。

外国税が気になる方は、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)などの国内籍投資信託を選べば、外国税を直接意識せずに米国株に投資できます。

NISAの口座開設や米国ETFの取り扱いは、米国株式の取扱本数が多いSBI証券で始める方が多いです。クレカ積立や為替手数料の優位性もあります。


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